カル村の小説置場です。拙い文章ですがお付き合い頂ければ幸いです。
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昨年の5月中旬頃=荒んでた時期に書いたものです。

この頃の自分の作品は小説というか「文章」ばっかりでしたね。
今見ると怖いですが懐かしいなあと個人的な感想。

追記からどうぞ。











僕は、彼女を愛していた。

けれども、彼女は振り向いてくれない。
愛せど愛せど、愛し返してくれない。
 
どれだけ僕が彼女を想っても、
そんな気持ちは彼女にとって、どうでもいいものでしかなかった。


大切な人には、大切に思われたい。
そんな簡単な道理だった。

だけどそれが叶わなかった。
だからなおさら、彼女の記憶に残りたかった。

どんな形でもいいから、
彼女の中に僕の存在を残したかった。


人の記憶に残るのは、
愛し愛された幸福の記憶と、
不幸と「恐怖」の記憶。

彼女が僕の愛を受け取れないというのならば、
僕が彼女に恐怖を与えればいいのだ。
そうすれば、彼女の記憶の中に、「僕」は残れるから。

僕は、ナイフを握って部屋を飛び出した。


逸る気持ちを抑えながら、携帯電話のコール音を聞く。
いつもどおり、平坦な彼女の声。

最初で最後の呼び出し。
こんなことしたら、きっと嫌われるだろう。
だけど、それで彼女の記憶に残れるなら。

 
何も知らないで来た彼女。
僕の、愛しいひと。

彼女の細い首に、ナイフを突き立てる。
彼女の身体を締めつける腕から、
彼女の早まる鼓動が伝わる。

彼女が悲鳴を上げるけど、
それは雨にかき消されて聞こえなくなっていく。


ふいに、彼女が誰かの名前を叫んだ。
僕ではない、誰かの。

それが気に食わなくて、ナイフを持つ手に力が入った。
僕といるんだから、僕の名前を呼んでよ。


気づくと、彼女の喉は赤く染まっていて、
動かなくなっていた。

彼女は、死んでいた。

それでも僕は、ただ満足感に浸っていた。
だって、彼女の瞳に最後に映ったのは僕だったし、
最期に彼女の隣にいたのも僕だったから。


彼女の熱かった血が、雨に晒され冷えていく。
雨に濡れている彼女はきれいだった。

満足はしたものの、僕はすぐにそれに飽きた。
だって、この世界から、
僕の大切なひとはいなくなってしまったのだから。


彼女のいない世界でなんか、
生きてる意味がない。


僕は、彼女にしたのと同じように、
喉笛にナイフを突き立てた。

世界が、赤く染まる。
彼女の赤と、僕の赤。
 
僕は、満足していた。
だって、僕の瞳に最後に映ったのは彼女だったし、
最期に僕の隣にいたのも彼女だったし、
彼女の記憶に最後に残ったのは僕だったし、
僕の記憶に最後に残ったのも彼女だったから。










* * * * *

文章書くようになって最初の個人的な作品です。

流石に学校で配布するような冊子には載せられないので、
似たような作品達はこんなところで細々と紹介したいと思っています。
 
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