カル村の小説置場です。拙い文章ですがお付き合い頂ければ幸いです。
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磔に成功いたしましたので更新です。
パソコンの変換がおかしいですね。どこの聖女だよ。

タイトルは、フェアシュタントと読みます。
ネタバレになるので意味とか気になる方は御自分でお調べなすって下さい。

追記からどうぞ。











 僕の隣で泣いているその人は、僕の大切な人だった。彼女には、僕と同じように大切な人がいた。

 彼女は、その大切な彼のことでいつも苦しんでいた。自分はこれほど彼のことを想っているのに、彼は自分の方を向いてくれない、と悲しんでいた。
 僕も、その気持ちはよくわかる。僕の大切な人も、僕の方を見てくれないから。
 彼女は、大切な人に自分の気持ちを伝えられないのだと言っていた。拒まれるのが、傷つくことが怖いから、と。
 僕も、わかるよ。だって僕も、君と同じ境遇にいるから。
 彼女は、大切な人に愛してもらえないのだと泣いていた。大切な人に大切に思ってもらえないことが、つらくて苦しくて悲しくて、寂しいのだと。
 僕には、その気持ちが痛いほどよくわかっていた。だって、僕も、彼女に愛してもらえないから。
 僕は、彼女の苦しみをわかっていたし、わかってあげたかった。だって僕は、彼女が好きだったから。

 とある日、彼が死んだ。理由は、知らない。彼女はそれだけ言うと、声をあげて泣いた。
 彼女の泣き顔を見るのが嫌で、慰めようとして抱きしめた。そうしたら、振りはらわれて、頬を叩かれた。あなたに私の気持ちがわかるか。大切な人を喪ったのだ。彼に会うことも、声を聞くことも、笑顔を見ることも叶わない、愛される可能性も失くなったのだ。そう言って、彼女はその場に泣き崩れた。
 わからない? 今の僕じゃ、彼女の気持ちを理解してあげられないのか? そんなの嫌だ。彼女のことを、彼女の痛みをわかってあげたい。だって、彼女のことが好きだから。

 その人に会うことも、声を聞くことも、笑顔を見ることも、愛されることも叶わなくなること。それが、大切な人を喪うこと。
 ねえ。今なら、君の気持ちわかるよ。大切な人がいなくなる苦しみ、悲しみ、寂しさ。僕なら、君の痛み、わかってあげられるよ。だって僕は、君のことが好きだから。
 僕はそう、彼女に語りかけた。僕の腕の中にいる、赤く冷たくなった彼女に。









前のやつらよりは幾分かお話っぽいですね。文体的に。

しかし荒んでますなあ昔の俺……。

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